懸賞論文 その4
(前号より続く)
平成12年度全国商工中金の懸賞論文(組合の活性化をテーマにしたもの)に私が応募して見事、金賞に輝いた論文の一節である。
組合職員の起業家精神...... 研究室をつくる。
昭和 50 年代の中頃になると、 組合員の取引先も多種多様になり、 組合員の成長の契機ともなった生活協同組合との取組みについても、 当時、 安全安心に関して、 添加物や細菌などの知識のあまりなかった組合員にとって、 そうした技術面をサポートする仕組みが組合に必要ではあったが、 当時はなにをどうやっていいのかわからなかった。
そこで、 唯一、 大手の食品研究所に勤めた経験のある職員であった私が、 片手間で技術的なアドバイスをしていた時に、 「共同で検査研究ができる施設がないと、 組合員さんの生協との取組みができなくなる」 と思いこみ、 研究室の設立の必要性を組合員に呼びかけ、 組合員の賛同を得て、 小さいながら自分たちの検査研究施設を設立したのである。
少なくともその 10 年前は、 「かまぼこにネトが発生していても、 表面をお湯で拭いて食べればなんともない」 という話をされていた組合員が、 たった 10 年の間に一般生菌数がいくらいくらで.... 大腸菌群が..... 物性測定データは... などというある意味では専門的な話ができるようになったのは、 お互いに商売の為に取り組む中で、 熱意をもった組合員と事務局職員の切磋琢磨があったからこそに他ならない。
あとになって振り返れば、 おざなりの講演会を開催したりすることよりも、 組合員にとっては、 これが本来の組合の教育情報事業といえるのだと思う。
その後、 スタッフは、 専門的な職員を雇用するのではなく、 事務部門で採用した地元の高校を卒業した女子職員を地元の保健所に無理を御願いして何日か研修に行かせるなどして、 あとは経験でなんとかこなせるようにしている。
ありがたいことに、 組合員以外からも、 自主検査の依頼がくるようになり、 手数料をいただくことで、 組合の検査に必要な備品代の一部に充当することができるようになっている。
また、 原料冷凍すりみについては、 従来は国産のものがほとんどであったが、 ここ 10 年で海外生産と国内生産は逆転した。 それぞれの国情によって、 それぞれの海域によって違う
性質のすりみを買い付ける時代になると、 それなりの格付け、 品質検査が出来る研究室を持っていることは大きなメリットとなり、 組合の供給する原料については組合員が安心して使用できるようになったのである。
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