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2007年10月16日 (火)

韓国かまぼこ企業との交流記(その10)

■ 二日目の夕食会へ(韓国企業の役員同席にて)
これで、ほぼ今回の出張の役割のほとんどが終わった。す~っと緊張感が抜けてしまい、何となく明日、日本に戻るのだと思うとハードな時間であったにもかかわらず、逆にさみしさがこみあげてきた。
本日、見事な通訳をしてくれたキムファンギ氏が、流暢な日本語で「今夜はこれから、伝統的な韓国の家庭料理を楽しんでいただけるところに案内します。 また、食事の場に弊社の取締役が出席することになっています。」と案内してくれた。
また、会社から車にのせてもらっていったんホテルに商売道具のパソコンなどを置いてから身一つになって、取締役らの待つ宴席に向かうことになった。 写真はその途上で自動車の窓から撮影したものであるが、韓国のガソリンスタンドのガソリン価格がわかってもらえると思う。 ウオンで表示されているので、交換レートである約7.7で割ると日本円にしてリッター200円程度になる。日本は現在リッター135円~140円あたりだと思うので、韓国のガソリン代はかなり高いということになる。
さて、取締役が待つ夕食会の席に車が進むにつれて、また新たな緊張感がうまれてきた。
はたして、今回のわれわれのコンサルティングの様子が工場スタッフを通じて、役員たちにどのように伝わり、理解して歓迎してくださるのかどうか?という点であった。
ただ、やるだけのことはやったし、これでお役御免になったらなったで、それで元通りでどういうこともないじゃないかというすっきりとした気分にもなっていった。
夕食会場のレストラン?の2階にある別室に案内されていくと、そこに、すでに役員の方々が4人ほど座っておられた。 私たちはその4人の前に座らされ、あとは日本チームの横に通訳をしてくれているキムヨンギ氏が横に座ってくれて、私たちの言葉を逐一、役員に伝えてくれることとなった。
まず、役員を代表して、キム氏の歓迎挨拶がはじまった。 何を喋っているのかはわからないが、彼の喋る顔をじっとみつめながら、真剣な顔をして聞いていた。 あとで我々の日本語に直して通訳してくれたのを聞いていると、どうやら歓迎してくれているようだったので安心して、今度は礼儀だと思って自発的に私からも挨拶をした。
その挨拶の内容は、基本的には、今回、韓国に招待していただいたことのお礼と、スタッフの心のこもった温かいもてなしに感謝することと、隣国で同業者の皆さまと技術交流をおこない、共存共栄をはかっていこうという内容で、最後に夕食会へのご招待の御礼を述べた。
さて、ビールで乾杯したあと、どんどんと豪華な料理が運ばれてきて、特に刺身が出てきたのでうれしかった。 魚種は、ヒラメ、イサキ、タイと思ったが、このとき、醤油とわさびが出てきて驚いたが、これは私たち日本チームのための特別の計らいであったことを知った。 しかも、わさびは私たち日本人からすると、「これはわさびではない。」と言いたくなるようなシロモノであった。 濃緑色の絵具のような外観で、わさびのフレーバーが入っているが少しも鼻にツンとこない偽わさびであった。
 しかし、ここ韓国で私たちのためにこういった心遣いをしてくださっているのは、とてもありがたいことだと痛感した。
また、途中で役員が私に東遠のかまぼこ製品の品質はどう感じたかと質問してきたので、私は「文化の違いということもあり、韓国マーケットでの良い品質と日本での良い品質の違いがあるのかもしれませんが、今日、試食させていただいた御社の製品は残念ながら私の口には合いませんでした。」と答えておいた。
 すると、通訳係のキムさんが、カバンの中から工場を出る時にカバンにいれた試食の残り物の特製蒲鉾の焼板をとりだして、「お土産にいただいたミスター辻のカンパニーの製品です。」と役員に報告した。 すぐに役員が、それを切って食べさせるように店の人に命令し、ナイフが出てきた。そこで、今度は私がかまぼこの板の外し方を全員の前でもう一度、披露すると、工場で中塚氏がやったときと同じような「オ―」という歓声が湧き起こった。
<この芸は韓国で大受け!>
しばらくして、舞鶴の特製焼きかまぼこを食べていた役員の一人が「スケソウダラの味を強く感じる」と言い。工場のソク課長が「ちくわの味に似ている」と言っていた。
塗板があればよかったが、工場の試食会で全部食べられてしまい、焼板だけが残っていたので、少し残念であった。
 今日一番の上席であるキム常務が、もくもくと特製焼き板を食べ始め、ひとりで全部食べてしまうような勢いだったので、中塚氏が「キム常務、せっかくですので他の若いスタッフにも食べさせてやってください」と言うと、彼は笑って板ごと若い韓国人に渡して食べるように指示していた。<中塚先生!あんたは強い!>
 韓国の家庭料理ということで、昨日、工場スタッフに御馳走になった料理の味と似たような料理がまた、豪華盤になって出てきたが、最終には焼き魚のようなものが出てきて、これをみて思わす「グチだあ」と叫んでしまった。
 「これは私たちが高級かまぼこに使用している原料魚の一種です。」と通訳を通じてあちらの役員たちに説明した。
 そうこうしている内に、役員たちが韓国焼酎をお茶で割って呑み始めた。 あいかわらず工場スタッフは酒をあまり口にしない。(韓国では上役の前ではあまり呑まないのが礼儀らしい)私たちにもカンペーをするかどうか聞いてきたが、せっかく韓国に来たのだし、仕事はもうほぼ終了し、明日は日本へ帰るだけとなっている安心感もあり、少しだけいただくことにしたのであった。
 すると朴(パク)常務が「ミスター辻はいつ生まれたのか?」と尋ねてこられたので、即座に「1955年です」と、これは英語で答えた。 すると、にやにやと笑いながら、キム常務が「あなたの履歴書を拝見して、あなたが私と同じ年であることを知っていた。」と言われ、手を伸ばしてこられ、握手を求められ、それからは同い年ということで、急に態度がやわらかくなってきて、将棋の歩がいきなり敵陣に入って、いきなり金に成ったような雰囲気だった。
「カンペーを少しだけやりますかな?」とキム常務が言ってきたので、まあ、仕事も終わったし、開放感で韓国焼酎をコップにうけることにした。 途中で、なんだかカンペーをもっとやりたい気分になり、半分ほど空いたキム常務のコップに韓国焼酎を注いでしまった。 横にいた通訳のキムさんに「韓国では、飲み干していないコップに酒を注ぐことはとても失礼な行為ですよ」と言われて、文化の違いをここでも感じてしまった。
 実は、朴常務を通じて、中塚氏も辻氏も酒はあまり呑めないのでほどほどにしてやってくださいというメッセージがあらかじめ韓国側に行っているせいもあり、キム常務は気遣ってくださり「おいしいけど飲みすぎると後がしんどいですから、カンペーでなくてもハーフカンペーでもいいよ」と言ってくれ、私たち日本人はしばらく、ハーフカンペーを繰り返した。
(※カンペーをすると。毎回、杯はかならず全部飲み干さなければならない。)
本当は、昨日から、酒を飲みたいのに飲めないフラストレーションがたまっていたので、私はカンペーでもよかったのであるが、とりあえず、半分だけ残すことで酒酔いの負担を軽くしてくださった常務には感謝をした。 
 そこでの夕食会も最後は、私とその日の最高上席のキム常務のツーショットでの記念撮影ができるほどまでになごやかな雰囲気となって終了した。

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