冷凍すりみも輸入品となった!?
かつて、かまぼこの原料であるすりみは殆ど国産であった。古くは各地の港で比較的量的に確保しやすかった魚を自社ですりみにして、かまぼこ造りをしていたのであるが、そのうち、前浜の漁が減り魚の確保が難しくなってから、北洋資源で大量に得られたスケソウダラを洋上(すりみ工船)、あるいは北海道の陸上工場ですりみにしたものを急速冷凍して、全国に供給する技術が確立してからは、蒲鉾業界はこぞってそうした冷凍すりみを使用するようになった。 しばらくは大手水産会社がすりみプラントを積み込んだ大型船やトロール船を北洋に繰り出し、船上で冷凍したすりみ化したものを国内に持ち帰り、全国のかまぼこ屋さんに供給していたのであるが、200海里問題が昭和50年代に発生してから、日本のすりみ工船が他国の海域(主に米国海域)で操業できなくなったのである。 それで、しばらくの間は、日本が漁獲できないので海外船に漁獲してもらって、洋上で魚を買い付けてすりみに船上加工したものを持ち帰っていたのである。(これがジョイントベンチャーといわれた方式である) しかし、これもやがて限界となり、大手水産会社は自らのすりみ工船を海外に売却して、海外産の冷凍すりみを商社が買い付けて日本のかまぼこ屋に供給するというスタイルになってしまった。(まさにすりみの輸入がはじまったのである。) そのうち、陸上すりみ工場も海外に出来るようになり、タイ、インド、ベトナム......とすりみの生産国は東南アジアにも広がっていったのである。
このグラフを見ても、この20年で輸入と輸出が逆転してしまったことがわかる。伝統食品かまぼこの原料も、もはや海外に依存しなくてはならない時代になったのである。 食料自給率最低の先進国といわれる日本であるが、お家芸で、国際用語となっている”surimi(すりみ)”でさえも、国内自給率は2割をきっている。
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