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2008年3月 6日 (木)

食料危機の足音が.....。

これまで、日本の物価指数は自分たちの実感以上には数字が上がらずデフレ傾向が続いてきた。。
それゆえに、どちらかというと、我々の給与やボーナスの手取りが減っても、生活に窮するということはなかった。これは食料品などの日常消費するものの値上がりよりも、テレビやパソコンなどのハイテク製品の値下がりが大きかったからだということである。
しかし、中国餃子事件から、海外の食品は安心できないという風潮が広がってはいるものの国産の原料、あるいは国産の加工品でどれくらい国民の需要に応じられるのかを考えた場合、それは、あくまで消費者の勝手であって、現実は海外から食品を輸入しなければ、国民のお腹をみたすことはできない。 
日本の食料自給率が低いことは、もうずいぶん前から知らされてきているし、かまぼこの原料であるすりみでさえ、もはや国産比率を自給率というなら、すでに日本の食料の平均自給率よりもさらに低い数字になっていることを知っている。
優秀な工業製品を輸出して極端な円安シフトのなかで外貨をかせぎ、その金で世界中から食料を買ってきた日本には、まったく危機感がなかったように思える。
今年は中国でも大雪で大変な被害がでていて、大豆などの大規模な輸入を検討しているというし、EUなどはすでに関税を撤廃してまでも食料確保に必死に動いているようである。
人口の増加と所得の向上があいまって新興国、途上国では食料需要がどんどん高まっている中で、食料生産のほうは、中国の例をみてもわかるように、地球規模での異常気象(地球温暖化とイコールなのかどうかわからないが)による不作が起こっているし、一方ではトウモロコシなど食料品をエタノールなどの燃料生産に向けるというような対策がとられたりしていることを考えると、益々食料の需給バランスが崩れ、食料インフレをひきおこしていく可能性を高めている。
おかしなことに先進国の中で、食料自給率39%と圧倒的に低い日本では、今だに将来を見据えた対策なり方針なりが示されていない。
われわれは、元々日本が元祖であった”すりみ”という生産資源あるいは生産技術を保護することもなく海外に譲り渡してしまった結果、一時はよかった面も多かったが、こうして、世界の食料資源の奪い合いの渦に巻き込まれてしまっている。
もう、そこまで伝統のある蒲鉾業界は世界のすりみ生産国に首根っこを押さえられているのだということを銘記すべきである。
地道なところから、少しは自給率を増やそうという動きも必要なのではないか。少しの庭で野菜を育ててみようとかいうレベル.......少しは地元の魚を使ってかまぼこを造ってみようというのがそれにあたるのかどうか?じゃあ、すりみにするだけの魚の量と種類が国内の漁港にあるのかどうかといわれると、あるという自信もないのだが。
これから、どれだけ国内、いや世界中で食料インフレが起こるのかは不明であるが、このままでは、日本の多くの食品産業は、自国消費に応えるために原料の輸出はできませんよと外国から言われたら、なすすべもなく、明日から仕事ができなくなるという脆い実態も抱えているのだという危機感も持ち合わせておくべきではないだろうか。

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コメント

マグロも同じ状況で結局中国沿海部と為替レートのいいヨーロッパ圏で商売する傾向です。安く回るお寿司のトロはビンナガで同じく加工業界を圧迫しています。先日、中国沿海部に近い台湾の高雄の港を見てきました。マグロの違法船問題で動いていない船もありましたが、冷凍庫が新しいものが出来ており、流通拠点として発展する可能性もあります。業界紙上ではもちろん歓迎で、台湾に買収された会社も含めて日本の業者が利用していることと思います。

加工品材料確保の問題は海外の生食用文化浸透とも深くかかわっております。マグロの生食普及は業界を救う一方で、国益である資源の流出を意味することを業界外では未だ十分な理解があると思えません。農林水産省は輸出を促進し、地産地消も促進し、ブランド化を促進し、向いている方向が全く見えません。

ついでに行った高雄の大型モールに北海道ショップが出来て、知る人ぞ知る銘酒、増毛の国稀が日本と変わらない価格で売られている状況で、日本より日本らしい。

経済の話で、「ゆでがえる」にならないようにという話がありますが、日本全体の感覚麻痺を象徴するような言葉ではないかと思います。

海外から物を確保する意味、出て行く目的、このあたりを地域、企業で明確にしていかないと、企業経営から食糧確保に繋がらないのではないでしょうか。

4年ほど前に台湾で中国に食品生産を移管して、材料が腐っていたため死者を出すという事件を現地テレビで見ましたが、日本の消費者は4年前の台湾の轍を踏んでいるんだと感じております。

投稿: しんかい+3cm | 2008年3月 6日 (木) 10時43分

>しんかいさん、本当に、マグロの生食などの文化は中国に教えるべきではなかったとあとから後悔しても遅いですよね。各港でも、国内で売るより中国のほうが高く買ってくれるし手間もかからない......なんてよく言われて輸出が促進されていますが、自給率の低い国がどうして??と不思議でなりません。経済の流れとは逆の規制も必要なのでしょうか?

投稿: かまぼこ博士 | 2008年3月 6日 (木) 10時56分

天然資源の流出は好ましいことではなく、本当の意味で国産ばなれを引き起こすことにはならないか心配です。やるなら養殖で資源増殖もあわせてやるのが好ましいのではないでしょうか?
資源の性格によると思いますが、マグロの文化は伝統文化ではないけども遠洋資源は戦後得た国家資源ですし、歴史は浅いです。それがゆえに高級品として通るという面と、いろいろ怪しい物が出てきて消えるのか、根付くのかはわかりません。ただし、台湾も日本が刺身文化を入れましたが、まともに取り扱いが出来る地域は水揚げ港付近だけというところもあり、一時的な現象と見て取れる面もあります。

投稿: しんかい+3cm | 2008年3月 6日 (木) 15時23分

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