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2008年12月19日 (金)

失われる日本人の愉しみ

産地偽装、表示偽装……..生産者にとっては、恥ずかしいような事件が多発している昨今ではあるが、そのために消費者が疑心暗鬼になって、真面目に正直に製造しているメーカーにもとばっちりが来ている。
要らぬ不安をあおり、ちょっとしたにおい、味、外観の違いに不安を覚えてメーカーに苦情が来ることが多くなっている。
例外もあるだろうが、食品は、工業製品ではない。例えば、かまぼこについても、その原料が毎日、同じ大きさの、同じ組成の、おなじ鮮度の魚であることはないし、仮にそれらがたとえ同じであったとしても、その日の気温、湿度などの環境は刻々と変化していくものであり、元来その中で、絶えず品質を守ろうと必至になって研究を重ねているのが食品加工メーカーの姿でもあるのだ。
食品加工メーカーは食を通して消費者の安全と安心を守っていく義務がある。反面、消費者も、消費を通じて生産者を守り育てる意識がないといけないのであろう。
 最近、後者の視点がかなり薄れ、消費者と生産者がまるで敵のような対立した関係を呈している姿をみかける。 極端に言えば、消費者は生産者が悪いことをしているのではないか?という疑心暗鬼に陥っている。 
 特に中国産の食品、原料については、日本国民の多くは不信感を抱いているし、実際にそうしたものを店頭にならべても、最近では敬遠する消費者が圧倒的に多くなっている。
 これは、中国の生産者のモラルの問題もあるし、まして毒物を混入させたような食品を生産させてきた政府の責任もあると私は思っているので、ある意味、仕方のないことだと思っている。
 だが、片一方で、半分以上は海外から食品あるいは食品原料を輸入しなければ、この国の消費者の胃袋を満たすことはできないのである。
 この国は食糧危機と隣り合わせの国なのに、なぜか国民は危機感を持っていない。 しかも、安心安全を求めるのはよいがそのためのコストには無関心であり、結局、ほぼ生産者、メーカーだけにそのしわ寄せがいっている構造である。
 消費者を反対から見ると、贅沢は言うが、その贅沢に対応するために苦労している食品メーカーの姿は一切見てくれていないと思わざるを得ないときがある。
 たとえ安全が確認されても、中国のものは要らないとするから、食料供給のために輸入した中国の食品が在庫でたまり、それを金にしないと自らが潰れる業者が、耐えられなくなって産地偽装をしてでも、売ってお金にしたいと思うからこういう事件が多発するともいえる。 
偽装は悪いことであるが、偽装して販売した品物が健康に悪いというわけではないことも多い、日本政府も食料供給という意味では、こうした生産者や食品供給者を追い詰めないでいけるような施索も考えてもらわないといけないだろう。そうすればこういう事件は起らないし、消費者が不信感を強めることもないはずだ。
しかも、こうした生産者を悪人に仕立てあげて、その販売品があたかも毒入り食品のように報道するマスコミの姿も滑稽で見ていられない。
食品を回収して破棄する。…………..これは、メーカーのパフォーマンスとしてはよいのだろうが、地球上の食料資源という観点からは、なんと無駄なことをしているのかと言いたい。 こうしている間にも餓死していく人間が世界にはゴマンといるのに、また、食品の自給率が先進国の中でも最低レベルで、産地が偽装されたというだけで、元来、安全な食品が償却ゴミとなって燃やされてしまう国はどういう国なのだろうか?業者に罪はあっても食品に罪はない!というものまである。
最近、かまぼこでも魚本来の香味を大切にした昔ながらの製品作りをしているのに、変な臭いがすると苦情を言ってくる消費者も多くなってきた。 何かを入れているのでは?とまで疑われてしまい、我々としては「逆に何かをいれて魚の味を消したり、魚以外のものを入れて、素材の味を消して調味料の味だけで楽しめるような加工食品を作ったほうがいいというのか?本来の魚の風味がするかまぼこは美味しいと感じられなくなってきたのか?」と情けない気持ちになることさえある。
日本人が古来大切にしてきた肥えた舌、季節ごとに変化する味や自然をめでる舌は段々と衰退していくのであろうか? 最近、安全、安心の本来の意味が曲解され、食品本来の美味しさとか食の楽しみというものから乖離していっているように思えて仕方がない。

 

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