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2017年2月 3日 (金)

かまぼこ百科 最終稿


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かまぼこのことを、このコラムに連載させていただくお話をいただいて、ほぼ月に一度のペースで原稿を書いてきたが、はや4年の歳月が過ぎようとしている。

 私も、還暦となり、会社でいうところの一応の区切りを迎えたばかりである。 大学を出てから、他の食品会社に在籍した年数や現在の舞鶴かまぼこ協同組合で働いた年数を加えると、ほぼ37年となるが、この間、ずっと食品関係の仕事をしてきたことになる。

 もちろん、共働きの両親のもとで育った私には、食品会社とはほとんど無縁であったと言ってよいが、元来、食べたり呑んだりすることが大好きな人間であり、後から考えると自分にとってはこれこそが天職であったのかもしれないと思えてくる。

 わが業界にも、これから、天変地異ともいえる自分たちの力ではどうしようもないような地球規模の動きが少なからず影響を及ぼしてくるだろうと思われる。 海の環境と資源問題もそうであるし、国家間の食糧の争奪もそうであるし、エネルギー問題や、あってはならない国と国との係争事、経済のうねり、などもそうであろう。

 思えば、私が舞鶴のかまぼこ業界に身を置くようになった頃、組合員の会社は14社もあったし、さらに、現組合の前身であるかまぼこ水産加工業協同組合が設立されたころ(昭和25年)は26社があったといわれている。

 私が定年となった今では、組合員企業の数はわずか5社のみとなっている。

10年先、50年先はどうなっているだろうかと思うと気が遠くなりそうだが、その時代、その時代の大きなうねりの中で、波に乗るか、波間にのみこまれてしまうか………先のことは誰もわからない。

 ただ、かまぼこという食べものは、900年以上も日本人に食べ続けられてきたわけであり、これまでも幾多の時代の波が押し寄せてきた中でも、生き残ってきたことを考えると、私がこの業界にお世話になったわずか数十年のことだけで未来を予測するのは、かまぼこに対して、あまりにも失礼ではないかと思うようになった。

 魚という動物蛋白から、有用な塩に溶ける蛋白質をとりだし、それらを細かい分子構造の組織にして、繊維状になったたんぱく質をからめて熱でかためた加工食品……….これがかまぼこの姿であり、魚のもっているタンパク質や有効成分をそのまま引き継いで、いつでも簡便に食べることができる食品である“かまぼこ”は、これからも日本人の食卓から消えてなくなることはないと信じたい。

 三十余年もの長きにわたり、舞鶴かまぼこに関わって仕事ができたことは、本当に幸せであったと思うし、これからも生ある限り、見守っていきたいと思う。

 舞鶴かまぼこ百科への投稿記事も、まだまだ、中国へ技術指導にいった思い出や、商品開発にかかわった思い出だとか舞鶴かまぼこの営業に全国行脚した思い出など、他にも色々とあり、話題は尽きないが、冒頭で述べたように、私自身の区切りとなる年がやってきたことを契機に、ほぼ4年にわたり、浅学な私の投稿記事を読んでいただいた読者の皆様と、投稿の場を与えてくださった舞鶴市民新聞のスタッフの皆様方に感謝を申し上げつつ、いったん、幕を下ろしたいと思う。 本当に長い間、ありがとうございました。(完)
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